姉の罪は僕も罪-1
エッチな小説やマンガでは、そこを「おま○こ」と綴っていた。
公衆トイレに貼られてた付箋の落書きには「オメコ」と書かれていた。
アホ友と成年動画を見ていたら「この女の子、いいボボしてるよなー。」なんて言ってた。
タブレットの性教育のテキストには、「ヴァギナ」だの「膣」だのと示されていた。
でも、僕がいま眺めてる全裸の姉のおヘソの下に光る存在は、そのどの名称にも合わない可憐なカタチをしていた。
「あきと、お前ねぇ……」ふゆめ姉さんが太ももをモゾモゾさせて言った。「そんなに凝視するなや……恥ずかしいやろ。」
「そやけど……」僕は顔を一段と近づけた。「キレイで、可愛いもん。」
「えー、キレイか?……オナニーやりまくって変にゆがんどるのに。」
僕は、姉さんの声で「オナニー」という単語を聞いたとき、この間のことを思いだしていた。
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この間、僕が学校から遅く帰ったら、家の中から悲鳴と怒鳴り声が聞こえる。
姉さんと、(その頃一緒に住んでた)ママの姉であるナツノさんとが何か言い争ってるようだ。
僕は庭の方にまわって、別ルートから二人のいる和室のほうに忍びよった。
ふすまのすき間からのぞいて見ると、立ちはだかるナツノさんの前にうずくまる姉さんがいる。
姉さんは下半身ハダカだった。
ナツノさんが、ドスのきいた声で怒鳴りはじめた。
「お前、人のいないスキにまたションベン出るところなんかイタズラして!」
「……」姉さんは黙っている。
「お前」ナツノさんがまた怒鳴る。「小さいころから何度言ったらわかるんだ!気持ちよさに囚われてそんなところイタズラばかりしてたら、デリケートな女の部分がダメになるんだぞ!」
「チッ!」姉さんは舌打ちした。そしてかたわらに置いてた一冊の本のページを開いた。「これ見ろや!アンタはそない言うけど、オナニーには『害がない』って書いてあるんやから!」
するとナツノさんは、姉さんの上着をつかんでまるて柔道のように畳にたたきつけた。
ナツノさんは畳に伏せる姉さんの頭を踏んづけながら言った。
「お前、こんなコソクな手段使ってまで、ミダラなイタズラを続けたいのか!」
僕はその場から離れた。家を出てそのへんを歩いて時間をつぶして、あらためて玄関から帰ると……
笑顔で迎えてくれるナツノさんがいた。
ふだんと変わりない姉さんがいた。
僕が帰るまでに、問題を解決したらしい。
だけど僕は、その夜から悶々した思いが止まらなくなった。
(姉さんが、ミダラなイタズラをしてるなんて……)
僕は、ネットで見た女のひとのオナニーシーンを姉さんに置き換えて、これまでと違う「ミダラなイタズラ」にふけるようになった。