第五十四章 性奴隷マチルダ-1
第五十四章 性奴隷マチルダ
「ルナ・・・・」
城と庭園が織り成す美しい風景の中をかけていく二人の姿を、切れ長の瞳で追いながらマチルダは呟いた。
愛する娘の成長に、今更ながら驚いていた。
まだ子供だと思っていたのに「月のもの」を迎える大人の身体になっている。
綺麗になった。
自分の少女の頃以上に美しいと思う。
マチルダの心に切ない想いが湧き上がる。
ルナには幸せになって欲しい。
しかし自分の忌わしい血が娘にも流れている事に、不安をぬぐえないのであった。
「王妃様・・・・」
低い声に振り返ると、マチルダは熱いものが込み上げてくるのを感じた。
「司教様・・・・」
庭園の植え込みを背に、アズート司教が立っていた。
柔和な笑みを浮かべている。
皺がれた顔は、以前マチルダが暮らしていたジューム国の僧侶そのものだった。
この世で最も尊敬する人であった。
しかし、アズート司教は別人である。
年齢的にも合わないし、風の便りでは国は滅び僧侶も死んだという。
それでもマチルダにとって目の前に立つ男の表情に、神聖な憧れを感じるのだった。
それ以上に、強い劣情も。