第五十三章 聖少女ルナ-4
「ディオン・・・・」
少年の気持ちがルナの心に入ってくる。
この不思議な力で操れる事を少女は知っていた。
他の人には滅多に使わないのだが、大好きなディオンには時折ためしている。
そんな自分が厭になる時もあるけれど、少年の想いに触れる誘惑には勝てなかった。
少女は白い歯をこぼした。
(大好き、ディオン・・・・)
同時に投げられた言葉は、甘い囁きのように少年の心にしみていった。
「ルナ・・・」
少年も笑みを返すと再び少女は駆け出し、二人の笑い声が遠ざかっていくのだった。
十四才になったルナ。
過ぎ越しの儀式まで後、一年だった。