第四十二章 非情な物語-1
第四十二章 非情な物語
金色の涙が頬を伝っている。
透き通る水晶の玉の中で繰り広げられる母の地獄の試練に、ルナはそうするしかなかった。
(お母様・・・)
助ける事も出来ない。
それはもう過去に起こった事実なのだ。
ジューム国の精霊が何を教えようとしているのか、ルナには分からない。
しかしルナは今、ハッキリと母と自分を襲った過酷な運命の真相を知ったのだ。
『あっー・・・あっあっー・・・・。
あふぅっ・・・いいっ・・いいのぉ』
悪魔の化身アズートに犯されながら、喜びの声をあげている母。
ルナが心から慕い、尊敬していた気品溢れる王妃マチルダが、罠とも知らずに交わっているのだ。
「うっ・・・く・・・ふぅ・・・」
ルナの身体にも官能が伝わってくる。
狂おしい程の熱い快感が襲う。
『ハハハハハ・・・ほらぁ・・・。
どうだ、マチルダァ?』
「うっ・・・くぅうっ・・・」
アズートの太いペニスの感覚がルナにも確かに感じられるのだ。
そう、まるで母と同化したかの如く。
この聖堂で死んだ母の魂と悪魔アズートの怨念が入り混じり、ルナの心に直接語りかける。
悪魔の欲望の罠に落ちた母の官能すらも。