第四十二章 非情な物語-4
『愛してますぅ・・・・うふぅ・・・ん。
凄く・・・欲しかったのぉ』
記憶を操作されている。
夫ではない男を愛していると言う。
『マ、マチルダ・・・・』
男が感慨深く声を絞り出している。
達成感に官能が込上げる。
マチルダの心を完全に破壊したのだ。
これで全てが終わったのだ。
アズートの口が徐々に裂けていく。
『あふっ・・・んっ・・・・・』
マチルダの唇に何かが忍び寄っていく。
『あむっ・・・・んっ・・・・・』
母の口いっぱいに飲み込まれていった。
「ダッ・・ダメェ・・・・」
ルナの声が、か細く響く。
地獄の光景が始まろうとしていた。
水晶の中に、おぞましい悪魔の姿が現れたのであった。