第三十七章 僧侶と司教4-7
「ワシの目を見るのじゃ・・・」
銀色の光が王妃を捕らえた。
「えっ・・・?」
その目を見た瞬間、マチルダの心に衝撃が走った。
「は・・・い・・・」
吸い込まれていく。
力が抜けていく。
何か重い物が覆いかぶさるように。
王妃の金色の瞳を、長い睫毛が覆いだす。
金色の光が薄くなっていく。
「お前は淫乱な女だ・・・」
司教の声が低く曇る。
「お前は清めねばならん・・・」
「は・・・い・・・」
マチルダの瞳は灰色に沈み男の目に釘付けになっていた。
心が縛られたように身動きが出来ない。
言われる事全てを受け入れてしまう。
理性が消えていく。
「ワシを信じるのじゃ、マチルダよ」
「は・・・い・・・」
男の低い声が心地良かった。
「お前の欲望を鎮めるためにワシが交わってやるのじゃ、分かるか・・・・?」
何も拒む気はしない。
不条理な言葉なのに疑問も沸かない。
それが当然の事に思えるのだった。
「は・・・い」
返事を繰返す度に、素直な気持になっていく。
マチルダは心の底から喜びを感じていた。
「ワシと交わるという事は、神と結ばれるのと同じなのだ」
司教は法衣を脱ぎ捨てるとコックを握らせたまま、マチルダの手を巧みに誘導していった。