第三十七章 僧侶と司教4-6
「い・・・やっ・・あはぁっ・・・
はぁっはぁっ・・・はあぁっ」
アズートの目が光る。
ようやくその時が来たのだ。
今までに無い強い邪念の炎を瞳にともしている。
アズートの両目が赤黒く燃えたかと思うと銀色の光を放ち始めた。
そして残忍な笑みを浮かべ、マチルダの手を包むように取った。
「そう言いながら、何を握っておる?」
もう一度言い聞かせる。
自覚させる。
「あっ・・・・」
熱い。
絡めた指先から何かが伝わる。
「これがお前の本心じゃ・・・」
放そうとする手を強い力で包む。
心が、からめ取られていく。
「そ、そんな・・・・」
マチルダの心に隙間を作る。
王妃の細い顎を取り、顔を上げさせた。
「欲しいのじゃろぉ、マチルダよ・・・?」
ゆっくりと顔を近づけながら囁く。