第三十六章 僧侶と司教3-3
「ああっ・・い・・いいっ・・・」
喜びの声を上げている。
あってはならない筈なのに。
不条理な官能が込み上げてくる。
あの時。
『お前は淫乱な女だ・・・』
男の執拗な声に思考が途切れた。
泣き崩れ、司教の胸に飛び込んだ。
そこには愛する僧侶がいる気がしたのだ。
只、温もりの中にいた。
心の底から慕う僧侶に優しく愛撫されていると思っていたのだ。
『やっと分かったか、マチルダよ』
だが、それはアズート司教であったのだ。
昔慕っていた僧侶と同じ笑みを浮かべている。