第二十八章 絡めとられる心-3
毎夜こうなる。
抵抗した分だけ、自分の弱さが強調される。
自分は獣だと思い知らされるのだ。
おぞましい怪物を求める自分を。
鼻に掛かった声が闇に響く。
生あったかい感触が再び身体を包む。
「あふぅっ・・・・んふぅ・・・んんん」
マチルダは喜びの笑みをこぼす。
端整な唇から白い歯を覗かせて。
もう拒む努力をしなくてもすむ。
自分は敗北を認めたのだ。
今から邪悪で、どす黒い快楽の海を漂える。
気品ある王妃の仮面を脱げるのだ。
そう、淫乱なケダモノとして。
嬉しそうに無数の愛撫を受け入れながら、マチルダは何時ものように大蛇の顔を引き寄せるのだった。
「んっ・・・んっ・・ふぅっ・・・んん」
ネットリとした感触が気持ちいい。
生臭い息を思い切り吸い込む。
官能が、欲情が込み上がる。
清楚な顔を惜しげも無く怪物に委ね、赤黒い舌を自分から吸いとっていく。
「んんんん、あふぅっ・・・・あああ」
そして、愛おしそうに大蛇を抱きしめ声を出すのだった。