第二十三章 王との出会い-1
第二十三章 王との出会い
マチルダは逃げる途中で、アキニシス国の王子に助けられる。
運命の出会いであった。
そのまま二人は結ばれ、ルナを生む。
その知らせは遠いジューム国に知らされた。
マチルダが出す強い念波によって。
古くから伝わる水晶を、聖堂で見ていた僧侶達は歓声を上げた。
「新しき子に祝福あれ。
ルナに祝福あれ・・・」
その聖堂の片隅で動いていたネズミが、床の隙間に飲まれていった。
(フフフフフ、もうすぐだ・・・。
待ってろ、マチルダ)
アズートと悪魔が融合した邪悪な魂が呟いたのを、僧侶たちは気づくことは出来なかった。
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そして一年後、僧侶達が祈りを始めた時、轟音と共に聖堂の床が崩れ去った。
それは、蛇とトカゲのあいのこのような怪物だった。
思わず聖剣を取った僧侶達だったが、一撃の内に殺されてしまった。
次々と食い散らかしていく怪物であったが、魔物の声がした。
「待て、アズートよ・・・」
「とめるんじゃねぇ。やっと五年ぶりに出られたんだ。みんな食ってやる」
「冷静になれ。もう、お前の身体は朽ちてしまってないのだ。今は、蛇やトカゲの身体を固めたにすぎない。ワシはこのままでも良いが、お前は望みがあるのだろう?」
「そ、そうだ女だ。マチルダだ。アイツを抱けるのなら、何だってする」
「ワシも永遠の命を得るにはジューム人の力が必要だ。だが見たところ生き残っているのはこやつ等、年寄りのみのようじゃ。これでは、直に我等も滅びる」