第二十三章 王との出会い-2
「ど、どうすりゃいいんだ?」
「この僧侶の身体を貰おう」
「ジジイじゃねえか・・・」
「外見など、どうでも良い。
返って怪しまれぬのじゃ・・・。
お前は女を抱くが良い。
ワシは、お前を通して快楽と生気を得る。
マチルダを探すのだ。
それが、ワシラの生きる術じゃ」
「マ、マチルダだと・・・やめろ!」
「いいじゃねえか、じいさん。
お前も、女が抱けるんだぜぇ」
「アアッー・・・」
煙の中から、元僧侶だった身体を乗っ取り生まれ変わった魔物が姿を現した。
「アズートよ、やったな」
「おう、じいさんの身体だが何ともいいよなあ、人間はぁ」
久しぶりの肉体をぎこちなく動かしながら、アズートは聖堂の中を見回した。
テーブルの上にある水晶を見つけると、呻くように呟いた。
「こ、これ・・・マチルダじゃねぇか?」
震える両手で水晶をつかみ、食い入るように見つめている。
「お、お前達・・・」
僧侶の魂は、体の外に追い出されていた。
自分の死を自覚した僧侶は、最後の力を振り絞り精霊を呼んだ。
何百年もの間、聖堂に宿っていた魂が融合する。