第二十二章 消えた男-3
男がそうすると聖堂の床が裂け、男は飲まれてしまった。
「ウギャー・・・」
僧侶が入っていくと聖堂には誰もいなかった。
男の血痕が床に残っていた。
僧侶達は探したが、誰もいなかった。
皆が去った聖堂に再び声が木霊した。
「フハハハハ、よく来たなぁ」
「クソッ、嘘吐き野郎め。
早く、ここから出せっ」
「まあ、そう焦るな。
二百年も封じ込められてきたのだ・・・。
とうにワシの身体は朽ちているわ。
お前の死にかけの身体では、
ここから出ても直に果ててしまう。
それよりも、その邪悪な魂とワシの力で
生まれ変わるのだ。
この地中に棲む虫や蛇達の精気を吸ってな。
ウハハハハ、二百年も待ったのだ。
十年や二十年くらい、すぐにたつわ」
「ヤ、ヤメロー・・・」
男の声が闇に消えていった。