第二十一章 後悔-1
第二十一章 後悔
「どうして・・・・?」
誰もいない聖堂の中で、マチルダは何度も心の中で繰返した言葉を呟いた。
只一つ言える事は尊敬し、慕っている僧侶ならマチルダのした事に賛成してくれるという思いがあるのだった。
しかし、そんな思いをあざ笑うかの如く、男は卑しい言葉を吐き出してくる。
追手から逃れ少女と二人きりだと分かると、元の残忍な表情が蘇っていた。
「善人ぶりやがってよぉ・・・。それで俺を助けたつもりかよ、ええ・・・?」
「キャッ・・・」
男の血にまみれた手が少女に小さな悲鳴を上げさせた。
細い手首をギュッと掴んでいる。
「へっへっへ・・・」
汚れた歯をむき出しにして笑っている。
「お前・・・いい女じゃねぇか?」
「い、いやぁ・・・・」
生臭い息に、悪寒が走った。
「何だよ、俺を助けたのは男が欲しいかったからだろう、ええ・・・・?この村じゃぁ、ジジイばっかりだからなぁ」
「やめてっ・・・放してぇ」
マチルダの悲鳴が聖堂に響く。
「いいじゃねぇか、抱かれたいんだろぉ・・・?」
男の力は強く、少女はどうしても振りほどけなかった。
「お前ぇ・・・淫乱なんだろぉ・・・?」
荒い息と共に下卑た言葉が獣のように男の口から吐かれていく。