第二十一章 後悔-6
老人達は必死に身をかばいながら、マチルダと共に抜け道を逃げていくのだった。
(お前は優しい、マチルダ)
僧侶の声が聞こえる。
途絶える事なく少女の心を包んでくれる。
(お前はジュームの最後の人だ・・・。
幸せになるのだ、マチルダよ)
抜け道からジャングルに出た。
もう声は聞こえない。
「僧侶様・・・」
それでも何度も振り返りながら僧侶を呼ぶマチルダの心に、いつまでも優しい声は消えないでいるのだった。