第十六章 試練-2
「ど、どうして・・・?」
ディオンの腕の中で泣きつかれて眠るルナの涙を、今夜も月が照らしていた。
聖堂で浅い眠りを取る二人に、アズートの呪いが聞こえてくる。
『ウハハハハ・・・。
お前の呪いは決して消えはしない・・・。
国中の男どもと交わらぬ限りはな。
ウハハ、ワハハハハ・・・』
「国中の男と・・・・」
ディオンは祭壇に祭られている聖剣に向かって呟いた。
これから続く試練に、愛おしい恋人を強く抱きしめるのだった。