第十三章 聖水-1
第十三章 聖水
「うっ・・・」
先に目を覚ましたのはディオンだった。
爽やかな目覚めであった。
身体中に生気がみなぎる思いがする。
見上げると満月であった。
「そうか、今日は過ぎ越しの・・・」
視線を下げると、ルナの裸体が月の光に照らされて横たわっていた。
瞳を睫毛で覆い、深い眠りについている。
それでも身体全身に瑞々しさが戻り、血色の良い肌がキラキラ光っているように見えた。
美しいと思った。
ディオンは幸せを感じていた。
厳しい試練に立たされた二人はズタズタに引き裂かれながらも、こうしてまだ生きているのだ。
樹海の上空で二人の魂は出会い結ばれた。
もう何があろうとも離れないと誓うのだった。
ルナの茂みが光っている。
泉から溢れている。
ディオンの想いの跡だろうか。
それとも。