第十三章 聖水-4
「あっ・・・・はあぁっ・・・」
ピチャピチャと、くもった音が聞こえる。
「あうっ・・いやっ・・・あんっ・・・」
強烈な刺激が駆け上ってくる。
「な、何・・・・?」
無意識に伸ばした手が、人の頭を捕らえた。
月明かりがその顔を照らした。
「ディオン・・・」
ルナの両足を抱え、夢中に舌を這わせている。
小刻みな電流がルナの記憶を揺さぶる。
切ない官能が徐々に蘇ってくる。
断片的な記憶が次々に浮かび上がる。
荒々しい男の吐息が。
生臭い獣の匂いが。
欲望を貪るメス犬がいた。
男に貫かれるまま白い歯をこぼしている。
ぼやけた輪郭が焦点を合わせる。
クリアなシーンが繋がっていく。
そして、ルナは全てを思い出した。
「や、やめて・・ディオン」
間断無く湧き上がる快感と共に、隠微な痴態がルナの心を締め付ける。
「だめ・・だ・・めぇ・・・」
男に犯されていた。
愛するディオンの目の前で。
自分から求めていたのである。
「お願いっ、やめてぇ・・・」
今舐められている泉に、盗賊のコックを咥えこんでいたのだ。
『んふぅっ・・・・もっとぉ、もっとぉ』
自分から腰を使い、何度も昇っていったのだ。
愛するディオンが涙を流しながら見ていた。
意識の下で感じながらも、ルナの身体は男を求めるのをやめなかったのである。