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HAPPY LIFE
【学園物 恋愛小説】

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HAPPY LIFEA-2

放課後、職員室に向かう。夕里と二人で歩いていると、前には幸久先輩の姿が。
「先輩!こんにちは。何してるんですか?こんなとこで」
先輩ビックリしたような顔してるけど、声かけちゃマズかったかな。
「あぁ、ちょっと部活のことで顧問の先生のとこに来てたんだ」
相変わらずさわやかな笑顔。相変わらずって言っても、会うの2回目だけどね。
「じゃあオレ急いでるから、またな」
そう言って先輩は去って行った。夕里が先輩の後ろ姿見つめてる…よっぽどスキなのね、カワイイ。
「夕里、先生のとこ行こう?」
振り向いた夕里は満足気な顔だ。
「うん!」



入部届を出し終わったあと、教室に戻った。一年生のマネージャーの活動は、来週から始まるらしい。
「明日香。あのさ、ちょっと付き合って欲しいとこあるんだけど…」
何?改まった顔して。
「いいけど、どこ行くの?」
「テニス部」




テニスコートに向かう。そんなに先輩に会いたいのかな?テニスしてる姿が見たいとか?まぁどっちでもいいんだけど。見学しにきたって言えば大丈夫だよね。
ボールを打つ音が鳴り響く。夕里は真っ先に見つけたようで、視線の先には同じ部員の人と話している幸久先輩の姿があった。
「サユリ先輩!」
突然夕里がしゃべりだしたと思ったら、"サユリ先輩"のほうに向かって歩いて行った。私は残って二人の様子を見ていた。なんだか深刻なかんじ…。夕里はカバンの中から小さな包み紙を取り出すと、それを無理やりサユリ先輩に渡すようにして戻ってきた。

「おまたせ。行こう」
そう言われて夕里の後ろに付いて歩く。
「夕里?」
声を掛けると、急に立ち止まった。肩が小刻みに震えている。
「夕里、何かあったなら話して。話し聞くだけなら私にだってできるし」
すると、夕里はゆっくりと話し始めた。
「あのね、私、幸久と昨日の夜に別れたの。半年ぐらい前から気になってる人がいて…私とはもう付き合えないって言われちゃった」
無理に笑顔つくってるのが、すごく痛々しい。
「なんかさ…一緒の高校入りたくてずっと頑張ってきたのに、バカみたいだよね」
夕里の瞳は真っ直ぐ前を見つめている。
「夕里、泣いていいんだよ。我慢しなくていいんだよ?」
「ありがと。今日ね、あの人の誕生日なの。プレゼント用意してたから渡そうかどうか迷ってたんだけど、持っててもしょうがないしあの人のこと考えながら選んだものだから、サユリ先輩にお願いしてきたの。サユリ先輩は私達のこと、ずっと応援してくれてた人だから…」
泣きじゃくることもなく、とても冷静な様子だ。
「なんかもうあきれて涙もでてこないよ」
思わず夕里の手を握った。
「夕里はすごく強がりだから人に弱いとこ見られたくないんだと思うけど、私の前ではそんなの気にしなくていいんだよ?」
私のほうが耐えられなくて涙が溢れてきた。こんな時こそしっかりしなきゃいけないのに。
「明日香。一緒にいてくれてありがと…」
言い終わらないうちに、私の前で静かに泣き始めた。


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