第四章 死への旅立ち-3
「ブルーの髪・・お前・・・ルナ王女?」
男の言葉が終わらぬ内に青年はルナを突き飛ばすように離し、男の前に立ちはだかった。
「逃げるんだ、ルナッ・・・」
男の動きを牽制しながら青年は叫んだ。
「いかにもルナ王女と私は護衛のディオン公爵だ。
それを知っての狼藉だと容赦せぬぞ」
剣の重さがディオンには切なかった。
未だ回復しない身体は日々衰えていたのだ。
しかし、この身がどうあろうともルナだけは守ろうと思うディオンだった。
今日ここに来たのも死ぬつもりだったのだから。
愛する男の説得に何とか立ち直ったルナだったが、二人にかけられたアズートの呪いは解けてはいなかった。
生気が失われたディオンの髪は真っ白のまままだった。
それでも健気に振舞いながら懸命に国の復興に努力するディオンに感動しながらも、ルナは自分の身体の欲望に身を焦がす日々が続いていた。