第二章 アズートの呪い-1
第二章 アズートの呪い
「お前達は呪われるのだっ・・・永遠に。
ウワーハハハハハハハー・・・」
アズートの声が聖堂にこだましていた。
ルナとディオンは呆然とした表情で見つめ合っていた。
全てが終わった。
そう思っていた矢先に、悪魔の言葉が二人を再び試練の道に引き戻したのだ。
ルナの美しい頬にはアズート司教の返り血と、母の臨終に流した涙の跡が痛々しく残っていた。
忌まわしい体験だった。
母を落し入れ、父を殺した憎むべき悪魔であるアズートを追詰めた筈だった。
それが狡猾な罠に、はめられたのである。
目の前で愛するディオンが母マチルダと抱き合い、舌を絡めていた。
その光景に心が捕われたすきに、アズートの妖術でルナは操られてしまったのだ。
悪魔と交わっていた。