第三十一章 過ぎ越しの日-2
ルナ女王の金色の眼差しに、五人の男達は心が溶けていく思いであった。
男達はこぞって自分の名前を叫んでいる。
「お、俺・・ゾフィーっていいます。
と、盗賊の頭だったけど、やめますっ」
「わ、私はルーダ・・・。城の門番です」
「オ、オイラ・・ジッタ・・・百姓だぁ」
「ワ、ワシはクルツ・・・鍛冶屋ですだ」
「ホホホホホ・・皆、今夜は無礼講です。
存分に楽しむように・・・」
男達は歓声を上げて、ご馳走を口に運んだ。
美しい女官達が優しく酒を注いでくれる。
キエフの記憶はここで途切れていた。
微かに覚えているのはルナ女王が自ら席を立ち、みなに酌をしだした頃であった。
金色の瞳が異常に光って綺麗だったのまでは、覚えているのだが。