第三十二章 儀式-2
真っ黒に汚れた自分の歯をこじ開けるようにして舌を絡め取っていく。
(ああああ・・ダ、ダメだ・・ルナ様)
だがルナの魅力に勝てる筈などなかった。
キエフは両手でシッカリと引寄せた。
「んぐう、ううう・・・ルナ様ぁ」
折れそうな細い腰を抱きしめ、ルナのピンク色の舌を吸い取っていく。
「あああ・・王女様、ルナ王女様ぁ」
もう死んでもいいと思った。
たとえ地獄に落ちてもいい。
この甘美な快楽に漂えるのなら。
他の男達は瞳を金色に輝かせてジッと見つめている。
ルナが唇を離すとキエフは大人しい番犬のように従った。
そしてルナは片目のゾフィーの膝の上に乗って、キエフと同じように唇を重ねた。
「んん・・ぅふう・・・んんん・・・」
ずっとお預けを食っていた番犬は、まさにケダモノのようにルナの舌を貪った。
(おおおおお・・す、凄え・・・。
じょ、女王様の唇だあ・・・)
「あああ・・美味しいですよ、ゾフィー」
「女王様、ルナ女王様ぁ・・・」
ルナは不思議に思う。
こんな卑しい男達の口づけで感じるとは。
もしかするとこの男は、あの樹海で追い詰められた盗賊の一人だったかもしれないのだ。
いや、むしろ卑しい程、感じるのだった。
男達は普段どおり汗臭い身体のまま王宮に招待される。
ルナのマゾの血がそれを求めるからだ。
汚らしく、残忍に犯して欲しかった。
そう、アズート司教のように。