女らしく【11】『ゲームと王様と月見酒』-4
「マコトの言う通りですわ。大和、これはゲームなんですのよ。場を最後に盛り上げなさい♪」
手はブルブル震え、顔は茹であがった蛸以上に真っ赤に染まっているであろう。
「ほ、本当に良いのかマコト…」
「「んー!んー!」」
詩乃と稲荷が必死に首を横に振っている。
「……うん…」
大和なら…
詩乃と稲荷意外はニヤニヤといかにも楽しそうだ。
やがて大和も意を決したようにオレの顔を見つめる…
ただそれだけで心臓は跳ね上がり、頭の中は爆発寸前になる。
「マコト…ごめん…」
頬を紅に染めた大和の顔が迫ってくる。
「な、何…謝ってんだ…よ…」
目は閉じた方がいいよな!?し、姿勢は?このままでいいのか!?
大和の手が肩を掴む。
「マコト…」
「は、はいっ!」
身体は金縛りにかかったように硬直して動けない。
も、もうどうにでもなれ!!!
瞼を閉じ、全てを大和に委ねる。
バクッ!バクッ!バクッ!…
心音だけの世界が続く。身体が壊れそうなくらい暴れ回る心臓。
オレはこの時人は緊張で死ねると分かった…
そんなくだらない思考の中…
唐突に柔らかなものが頬に触れた…
「これでいいだろ!」
「唇にしなさいよ!!」
大和と撫子さんの怒声が耳に入り、すぐさま抜けていく。
頬が熱い…いや…身体が熱い…
やっ…やま…やまと…大和…大和が…お、お、オレのほっぺたに…き、き、き…キスしてくれたぁ♪
頭がガクガクする。身体に力が入らない。
思考が停止する…
「マコトっ!?」
フゥーッと身体が後ろへ傾いていく。
薄れゆく中でオレはこの時人は幸せで死ねると分かった…
夜風が流れている。静かだ。とても静かだ。
全てのものが声を忘れたかのように静まりかえり、世界が音を無くしてしまったかのように静寂しか伝わらない。
時計を見ると午前二時。
ふと目を覚まし、辺りを確認する。
隣りで奏とミリィが安らかな寝息をたてている…その奥にはすごい寝相の撫子さんと縛られたまんまで詩乃が寝ている。