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ヤクトリの女
【熟女/人妻 官能小説】

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強制捜査-5

銀三が気付いた様に、

「名前の下の日付と一瓶とか有るのは売った記録だな。」

と言うとイチも頷き、

「お宝だよ、銀さん。」
「コイツは、スキャンダルの種になる。」
「全員、社会的な地位を持っている人ばかりだ。」
「ツープッシュの使用を明らかにされたら地位や権力を失う人達の名簿だ。」

と声を上げる。銀三は言われて初めて気付いた見たいで、

「そう言うものか?」
「俺には無縁な物だからな、地位に権力?」

と笑う。真理子を見るとハッとした表情をしている。銀三は笑い、

「どうした?」
「知り合い見付けたか?」

と聞く。真理子は名簿に捜査ミスだと騒ぎヤクトリの存続もチラつかせている例の国会議員の男性秘書の名前を見付けた。名簿にはっきりとその国会議員の名前が書かれている。

(もし、議員本人がツープッシュを使っていたら?)
(被害者はその議員の若い女性秘書だった。)
(確か有力議員の娘だった筈だ。)

と真理子は考え込む。銀三はしたり顔で、

「課長、それを持ってた方が良いぞ。」
「上に渡したら握り潰される。」
「テレビドラマで見たパターンだ。」

と笑う。真理子は今日支部に来ていた上役達の顔が浮かぶ。本省の出向者ばかりで国会議員や官僚などとの摩擦を嫌がるかも知れない。

(握り潰しはしないと思うけど。)
(念の為、私が預かろう。)

と真理子は思い、上着のポケットにそのメモ帳を入れた。その時、スマホの着信音らしき音が地下室に響く。イチが慌てて、

「マナーモードにするの忘れてた。」

と言いつつ電話に出る。

「吉さん?」
「ヤクトリの人達来たかな?」

と話している。突然、

「ええ!半グレが店の前に車付けた!」

と大声を出す。銀三と真理子がイチを見る。

「間違い無いの?」
「腕や首筋にタトゥーが見えるの!」
「車二台で6人位降りて来たって!」

と話すと銀三と真理子を見た。銀三が、

「ノートパソコン持って逃げるぞ!」

とイチと真理子に言う。イチは頷き、二つの机に有るそれぞれのノートパソコンの電源アダプターを外して折り曲げると両腕に抱えた。真理子は銃を素早く取り出し下に向け弾倉を横に押し出し銃弾の装填を確認している。

銀三とイチは驚いた様に真理子と真理子の持つリボルバー式拳銃を見つめた。真理子は、

「早く逃げて下さい!」
「私は被疑者達を逮捕しなければいけません!」

と銀三とイチを見て話す。銀三は我に返った様な表情になり、

「何言ってんだ!」
「6対1で敵う訳無いだろう!」

と言うと真理子をひょいと肩にかつぎ階段を登る。イチも後に続く。真理子は慌てて、

「何すんの!」
「降ろしてよ!」

と声を上げる。銀三が、

「しーっ!」
「聞こえるだろ、連中に!」

と声を抑えて話す。銀三達が地下室の階段を登り、バックヤードからカウンターに入った時に向かって右斜めに有る入り口が開く。銀三は真理子を降ろしてしゃがみ込み、イチと真理子にカウンター横のドアを指差す。その時イチが抱えていたノートパソコンを落とし、

「ガタッ!」

と大きな音が出ると、

「誰か居るのか?」

と入り口付近から男の怒鳴り声が聞こえた。銀三はカウンター横の従業員スペースに通じるドアに駆け寄り、イチと真理子を手招きする。イチがドアを通ると、

「中に人がいます!」
「サツか?」

と男の大きな声が聞こえ複数人の足音が近づいて来る。真理子が、

「ヤクトリよ!」
「この店舗の捜索許可が出ています!」

と叫ぶと足音がピタッと止まった。だがすぐに、

「うるせぇ!」
「ここから出て行け!」

と男達が叫び返す。真理子が銀三にドアを指差し行く様に促すが銀三は動かない。真理子は苦笑すると近付いてくる足音の持ち主達に、

「この店舗内にて禁止薬物と思われる物を多数発見しました。」
「あなた方を関係者として拘束します!」
「抵抗すると公務執行妨害で逮捕されます!」

と大きな声で伝える。銀三が顔をカウンターから出して入り口方向を見ると4、5人の位男達が入り口から近いテーブル席の所に居た。そして何やら小声でブツブツ話している。銀三に気付いた男が手に持っていた物を向けると、

「パン!」

と乾いた銃声が鳴る。カウンターに当たり衝撃が伝わる。貫通した様だ。銀三は驚いて体をカウンターに隠し、

「5人はいたぞ!」

と真理子を見て言う。真理子はカッとなり、

「何してんの!」
「撃たれるでしょ!」

と銀三を叱り飛ばす。真理子は拳銃を斜め上に向け引き金を引く、

「パン!」

と銃声がした後、

「今のは警告よ!」
「撃つのをやめなさい!」

と大きな声で男達に伝える。男達は慌ててテーブルに隠れる。カウンター横のドアが開きイチがドアの向こうから、

「二人共、早くこっちに来なよ!」

と小声で話し掛ける。銀三が、

「おう、課長行くぞ!」

と応じ真理子に声を掛けると真理子は顔を振り、

「先に行って下さい!」
「私は彼等を逮捕しないと。」

と断り、拳銃を構え直して男達の方に向き直る。銀三が真理子の後ろに回り腰を両手で掴むとドアの方に軽々持っていく。

「やめて!」
「何するの!」

と真理子は銀三の方を振り返り怒鳴る。だが銀三は真理子を従業員スペースに持ち込み離すや、すぐさま近くのソファをドアの前に引いていきバリケードにする。そして、

「だから、相手多過ぎだろ!」
「死んじゃ何にもならねぇぞ!」

と真理子に言うと、

「裏口までダッシュだ!」

と二人に叫ぶ。イチは頷き、真理子は不満顔だが走り出す。


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