女らしく【10】『水着と浜辺と海水浴』-7
「正直に聞かせてくれ…大和が嫌ならオレは直すために努力する…」
「う〜ん…好きとか嫌いじゃなくて、慣れちゃってるからなぁ…」
「嫌じゃないか?」
「逆に前みたいな女言葉の方が抵抗感があるな…」
大和の中でオレの女言葉は軽いトラウマになってしまったらしい。
「その言葉遣いはマコトらしさなんだから、気にならないよ♪」
大海原を背景にした大和の笑顔は、とても力強いものだった。
「マコトは海嫌い?」
「好きじゃないな。でも、大和が一緒なら平気だ…また泳ぎ教えてくれよな♪」
「ああ…」
「大和…今日はありがとう…」
大和の首に手を回し、強く、深く抱き締める。
「あ、あの…マコト…」
「人に…見られたくないんだ♪」
大和の鼓動や体温が直に伝わってくるようだ。
暖かい…やっぱり、大和は暖かいよ…
「あああああっ!!」
幸せを引き裂き、耳をつんざく、悲鳴。
「お姉様から離れろぉお!」
砂埃を撒き散らし、詩乃が突進してきた。いきなりで躱しきれず、詩乃の体当たりをモロに食らってしまった。
「コラァ!そう言うお前こそ離れろよ!!」
「やだやだぁ!私もお姉様にギュってしてもらうんだから!!」
腰の辺りを完全に固定され、身動きがとれない。
「いい加減にしないと首をギュッてするぞ!」
「お姉様の手で死ねるなら本望ですっ!」
この筋金入りの馬鹿がぁ!
「それよりに何しに来たんだ?」
一人冷静な大和が問う。
「そうだった!撫子さん達はそろそろ旅館に戻るそうですよ!どうしますお姉様?」
「じゃあ、オレ達も行こうか?」
「ああ、腹減ったな♪旅館の飯が楽しみだ♪」
連れ立って旅館に歩き出す。
今日は楽しかった。ありがとうな大和…
左手からは大和の暖かみが伝わる。
「うふふふ♪お姉様の手暖かくて最高です!後でギュッてして下さいね♪」
右手からは詩乃の暑苦しい重さしか伝わってこないが…
続く…