女らしく【10】『水着と浜辺と海水浴』-6
「ぐわああ!ご、ごめんなさい!すいません!」
自分の手により一層の力を込める。
「マコト、そこまでだ」
肩を掴まれ、腕が止められる。
「やま…と…」
大和が立っていた。
頭が冷えていく。それに伴い身体から力が抜けていく。
その後、何とか立ち上がった3人組は慌ててこの場を立ち去った。
「マコト…大丈夫だったか?」
半分放心状態のまま、コクリと首肯する。
「アイツらに酷いこと言われたのか?」
未だ頭の中に靄がかかっている様な感じだ。
「うん…オレのさ…この言葉遣いがさ…キャラ作りだって……
そしたら、頭に血が上っちゃって…そしたら…あんなことしちゃってて……」
悔しかった。腹が立った。怒りに身体が支配されていた。
「あっちも悪いけど、マコトもやり過ぎだったな…」
冷静な指摘…
自分もアイツと変わらない馬鹿だったと気づかされる…
「とりあえず場所を変えよう」
辺りには黒山の人だかりが出来つつある。下手な大立ち回りを演じてしまったと、今更ながら後悔した…
「ほらこれでも飲んで頭冷やせよ」
比較的静かな岩場。その岩の上に腰掛け、隣りに座った大和が冷たいウーロン茶を差し出してくる。
それを一口飲み下す。喉を冷やし、頭も冷やしてくれる。
「ごめん…大和が止めてくれなかったらオレ…あのまま……」
頭の中の靄が晴れていく。
頭に血が上った状態では腕をへし折っていたかもしれない。
「あんまり気にするなよ」
周りの喧騒が遠のいていく。代わりに聞こえるのはさざ波の音。
「悔しかったんだ…」
「分かるよ」
大和は即答した。幼い頃からオレの側にいてくれた大和だから言える台詞だ。
「なあ、大和…大和はこの言葉遣い…どう思う?」
「どう思うって…」
「簡単でいいんだ…大和がこの言葉遣い…嫌いか?それとも好きか?」
大和の澄んだ瞳を覗きこむ。