女らしく【10】『水着と浜辺と海水浴』-4
「何でみんなジロジロ見るんだ…そんなにおかしいか?」
「それはマコトさんのスタイルがいいからですよぉ♪」
「いい?マコトちゃん!声をかけられてもほいほいついて行っちゃダメだからね!!」
パラソルの下。晴樹とミリィと撫子さんがジュースを飲みながら休んでいる。
分かってますよ。そんな子供じゃないんですから。
大和はというと、自分とオレの分の飲み物を買いに行った。
奏は読書中。博士は行方不明…
「その上着は九条のか?」
稲荷が面白くないって顔で尋ねてくる。
「ああ♪大和が気休めかもしれないけど、見られたくないなら着なって♪」
思わず頬が緩む。
オレの肩には水着と同じく白いパーカーがかけられている。
暖かく、海で冷えた身体にも心地よい。
何より、大和の心遣いがとてもうれしい…
「これ使え」
ポーンと何かを投げて寄越した。
「タオル?」
飛んできたのは、稲荷の私物らしい大きめのタオル。
「いらねえよ。さっき自分ので身体は拭いたから」
「いいから使え。それでも身体は隠せるだろ」
強引な言い方。それでもオレを心配してくれているらしい。
まあ…ありがたく使わせてもらうよ♪
「稲荷く〜ん♪」
撫子さんがすごくいい笑顔で手招きしている。
稲荷は渋々、撫子さんの方へ向かった。
「マコトちゃん♪」
今度はオレ。同じく満面の笑みを張り付けている。
「大和を見に行った方が良くない?」
大和ですか?
「そう。少し遅いから見てきた方がいいと思うんだけどなぁ〜…
もしかしたら…逆ナンとかに遭ってたりしてぇ♪」
逆ナン…まさか…大和に限ってそんな…いやでも…飲み物買うにしてはちょっと遅いし…
そ、それに大和は…ボォ〜としてるけど顔は悪くない…というか、むしろ格好いいし……まさかな…まさか……
「オレ、大和を見てきます!!」
慌てて大和のパーカーに袖を通し、転びそうになりながらサンダルを履く。
「お、おいマコトそんなのほっとけよ!!」
「お〜と、稲荷君はこっちだよ!マコトちゃんに手を出したら承知しないんだからねぇ!!!」
走りだしたオレの後ろで何やら鈍い音がした気がする。