第二十二章 地獄の風景-1
第二十二章 地獄の風景
「んん、ふ・・・ぅ・・ディオン・・・」
「ああ・・おお・・・王妃様・・・」
二人の舌が絡み合っている。
王妃のドレスから覗かせた白い腕がディオンの首に巻き付いていた。
母の細い腰をディオンの逞しい腕が強く引き付けて抱きしめている。
「お、お母様っ・・ディオン?」
あろう事か母と愛するディオンが神聖な祭壇の上で抱き合い、互いの唇を貪るように求め合っているのだ。
余りにも信じ難い光景に、ルナは叫ぶ事さえ出来ずに眺めているしかなかった。
(ど、どうして・・何故・・・?)
ディオンと苦難の旅を続けて、やっとアズートを倒したというのに。
母を助けられたと思っていたのに。
その二人が目の前で愛し合っている。
そう、まるで恋人同士のように。