第十四章 川下り-2
(ディオン・・・)
心の中で呼んでみた。
「えっ・・何・・・?」
激しい水音の中、ディオンはそれに気付いた。
ルナの言葉は声に出さなくても、ディオンの心に届くのだった。
それが嬉しくてルナは微笑みを投げた。
ディオンは照れ臭そうにそれを受け取ると、零れる笑顔を少女に返した。
二人は幸せであった。
心を一つにして川を下っていく。
何も怖くなかった。
今は、そう。
こうして流れていきたかった。
何時か二人で掴み取る幸せの国まで。
川の流れは激しく荒れ狂いながらも、二人を確実に運んでくれていった。