第十三章 捜索隊-1
第十三章 捜索隊
「ジューム国に行こうと思うの・・・」
深い樹海を進む途中、ルナは荒い息の合間に搾り出すように言った。
ディオンはあたりを注意深く見渡しながら、ルナの話に耳を傾けている。
「そこは・・お母様の故郷で・・・
もう余り人は住んでいないらしいけど・・・。
戦争が起きたりして・・・。
はぁっ・・・はぁっ・・・。
何か困った事があった時は
そこを訪ねるように・・・・
はぁっ・・・。
小さい頃から・・言われていたの」
「少し休もうか、ルナ・・・?」
苦しそうに話すルナに、ディオンは心配そうに声を掛けた。
「いいの、大丈夫・・・キャッ」
しかし、ルナは木の根につまずいて転んでしまった。
抱き起こしたディオンは、決心したように頷くと強い口調で言った。
「いいかいルナ、聞いて欲しいんだ・・・」
ディオンの真剣な顔にルナは固唾を飲んだ。
「もう食料も残り少ない。
この近くに村があるから僕が買ってくるよ。
それに城から僕達の捜索を
どういった形でしているのかも気になるし、
何かお触書でも出まわっているのかも
しれない・・・。
直ぐに戻ってくるから、ここで待ってて」
ディオンの言葉に、怯えた表情を見せてルナは言った。
「い、いやよっ・・私も行くわ」
「ダメだよ・・・
二人一緒だと怪しまれるし、それに」
「それに・・何・・・?」
俯くディオンの顔を覗き込むようにルナが聞いた。
ディオンの顔が赤くなっている。
「ルナの・・顔・・・目立つんだ。
う、美しいから・・・じゃっ」
キョトンとした顔したルナを置いて、ディオンは駆け出していった。
ハッと我に帰ったルナは、消えていく男の背中に声をあげた。
「は、早く帰ってきてねー、ディオンー」
そしてディオンの言葉を噛締めるように、小さな両手で自分の身体を抱きしめて言った。
「好きよ、ディオン・・・」