第十三章 捜索隊-4
「わぁ・・・」
思わず声を出したルナの目の前に、大きな洞窟が広がっていた。
ディオンは構わずヒタヒタと歩いていく。
まるで自分の棲家のように。
遠くの方で大勢の声がこだましていた。
「オーイ・・いたかー・・・?」
「いやっ、こっちにはいないぞー」
「おかしい、確かに人影を見たのになー」
ズンズン進むディオンの腕の中で、声は徐々に遠ざかってやがて消えていった。
暫らく進んだ後でディオンはそっとルナを下ろして、自分も岩場に腰かけた。
「フー・・・ここまで来れば大丈夫だろう。
ごめんよ、ルナッ・・怖かったかい?」
改めて聞く優しい声に、ルナは飛びつくようにディオンの身体を抱きしめた。
「ディオンッ、ディオン・・・」
水色の髪が揺れている。
ディオンの首にしがみ付きながら、ルナは肩を震わせて泣いていた。
ディオンは優しく髪を撫でてあげながら、ポツリポツリと話出した。
「待たせてゴメン・・怖かったろ・・・?
ここは以前に探検した事のある洞穴だったんだ。
村に食料を買いに行って、思い出したんだよ。
樹海は昼間でも暗くて、
よく場所が分らないからね・・・。
もう少し行くと、川に出るんだ。
前に作ったイカダもある筈さ。
そこから下っていくと、
ジューム国の方角に行ける筈だよ」
ようやく安心したのか、ルナはやっと頬を緩めた。
洞窟の中は光苔のせいで、ほのかに明るかった。
ボウッと浮かぶルナの金色の瞳が、美しくディオンの心に迫った。
二人は短い口づけを交わした。
一瞬の静寂が、二人を包んでいった。