第十三章 捜索隊-3
ジューム国には仲間がいるはずだ。
高名な妖術使い達だと、母に聞いた事がある。
もしかしたら、アズートに対抗する何かを得られるかもしれないのだ。
しかし、それまでに城の手の者に捕まってしまえば、どうなるかわからない。
今の自分の力ではアズートには敵わない。
母でさえ操られているのだ。
さっきの者達は誰なのだろう。
城の兵とは違った。
心細さがルナの心を締め付ける。
微かな物音にさえ怯えてしまう。
前の木が揺れた。
身構えたルナの前を小さなリスが通り過ぎていった。
ホッと安心したのもつかの間、大勢の足音がハッキリと聞こえてきた。
(城の兵達だわ・・・)
慌てて立ち上がろうとしたルナの背後から、二本の腕が伸びてきた。
「ん・・むぐ・・・」
抵抗出来ない程の強い力で、口を塞がれた。
術を使おうとしてもパワーが残っていなかった。
一瞬諦めかけたルナの耳に、愛しい声が囁かれた。
「シッ、ルナ・・僕だよ、こっちへ」
ルナは男の腕に抱きかかえられた。
顔を上げるとディオンが微笑んでいた。
「ディオン・・・」
ずっと待ち焦がれていた男であった。
ルナの金色の瞳から涙が溢れてくる。
ディオンは葉が蔽い茂った所へ来ると、ルナを抱いたまま入っていった。