PieceFull・Love-2
「必殺瀬里奈ダーッシュ!!」
「え?あ、おーい石舞〜!!何故にダッシュ?」
鳴夜くんの制止を振り切り走る私。首筋にはさっきの感触がまだ残ってる。き、気味わりぃ…。
「おーい石舞〜。あ、こんな所に何故かハンペンが…。普通コンニャクだろー。」
案外冷静な桂鳴夜だった。
一方、恐怖の(?)ハンペンから逃げ切った瀬里奈と言うと…。
「はぁ…はぁ…。あ!!鳴夜くん置いて来ちゃった…。」
と一人で言っても周りには誰もいない。
無数に並ぶ墓標の中には瀬里奈一人。
しかも夢中で走ったせいか、全然分からない場所に出てしまった。
「ど、どうしよ…。怖い…。」
瀬里奈だって女の子。怖いもんはやっぱり怖い。
「どこよここ〜ッ…。」
瀬里奈を照らすのは一筋の月光のみ。視界は10M前後しかない。
とりあえず歩いてみる。もしかしたら他の人に会えるかも知れないし。
「もーう…。あたし主催なのにあたしが迷ってどうすんのよぉ〜。」
「っていうか、さっき首筋に当たったものは一体…?」
一人恐怖に恐れながら歩いていると、前方に人影が見えた。
よっしゃ!!脱出!!
「あ、あのー、あたし道に迷っちゃったんですけど、ここどこか分かりますかね?」
話し掛けた相手は髪が長くて口元には大きなマスクをしていた。
「……。」
「あ、あの〜?」
「私…キレイ?」
「へ?」
「私…キレイ?」
女は口元のマスクを徐々に外していった。
そこには耳元まで裂けた口が…!
「で、ででで出たぁぁぁぁぁ!!!!!!きゃぁぁ!!」
瀬里奈、再びダッシュ。