第十二章 水晶-2
「くっくっく・・そうじゃ、そうじゃ・・・。
マチルダよ、我が呪いを受けた者よ・・・。
愛し合うのじゃ・・・。
愛が強ければ強い程、
お前から受け取る生気は新鮮に
ワシを若返らせてくれるのだ。
くっくっく・・・。
それにしても淫乱な女じゃのう・・・。
いくら我が術に心が捕らわれているとはいえ、
昼間あれ程ワシの蛇達を咥え込んで
腰を使っていたというのに、くっくっく」
アズートは再び樹海のルナ達の姿を映した。
その手はしわがれた司教のではなく、大トカゲのウロコが浮かび上がっていた。
大トカゲは赤黒い舌を伸ばし、水晶玉に映るルナの清純な寝顔を舐めた。
だが、ルナの成人の日からずっとしてきた催眠調教を始めたのだが、ダメであった。
さすがのアズートでも念波が届かない。
しかし、焦る事はない。
ルナの心は、もう殆ど調教が終わっている。
余程の事がない限り、自分の呪いは解けないであろう。
マチルダも自分の手中にある。
この可愛い奴隷がいる限り、自分の寿命は果てる事なく永遠に生きられるのだ。
いずれルナ達も捕らえて奴隷にしてやる。
そして子を産ませて、自分のために代々の奴隷を継承させるのだ。
王女という名の奴隷を。
その裏で自分は司教として君臨するのだ。
不気味な音を立てて舌を這わす大トカゲの顔が、水晶玉に映る天使の寝顔を見せるルナの顔に重なっていた。