第八章 企み-1
第八章 企み
蛇が動いている。
ルナは再び夢の世界にいた。
無数の蛇が動めいている。
だがルナは今度こそ、ハッキリとそれを自覚していた。
成人の日から毎夜の如くみた淫夢の正体を。
僅かな間に失っていた意識が目覚めると、目の前に繰り広げられていた光景は消える事なく記憶の中におぞましい姿を晒していた。
(お、お母様・・・)
夢であって欲しかった。
憧れの美しい母が、事もあろうに尊敬する司教と交わっていたとは。
乱れていた衣服を直し、恐る恐る覗いた扉の向うには地獄のような光景が見えた。
「ああっ・・・?」
思わず叫んだルナであった。
母が犯されている。
身体中ウロコだらけの大きなトカゲに。
その尻尾から這い出ている無数の蛇が、母の穴という穴に入っていく。
「ああっー・・あっあっ、ああっー」
母の表情は遠くをさ迷い、金色に光る瞳を大きく開いて叫んでいる。
母の形の良い唇も、ふくよかな耳も長い足の付根の花園も、そしてその向うにも蛇の頭が見え隠れするように出し入れされている。
「あんっ、あふんっ・・いいっ、んぐうぅ。
いいー・・いいっー・・・」
母の叫びさえも飲み込むように蛇が入っていく。
それらが無数のペニスのように、ルナには見えてきた。
そして、おぞましい夢の記憶がハッキリと頭に映し出されるのであった。
そう、自分も犯されていたのだ。
この不気味な怪物に。