第四章 白い記憶-1
第四章 白い記憶
ルナは草原の上を走っていた。
何処までも続く緑は、爽やかに少女の心を魅了していく。
いくら走っても疲れない。
軽い足取りで、ルナは笑い声を上げている。
「フフフフ・・アハハハ・・・」
幸福感で心は充満していた。
ゆるやかな上り坂が続いていく。
ルナは更に足を速めた。
この丘の向うに何か素敵な物がありそうで、胸がワクワクしてくる。
だが、しなやかな足は徐々に疲れを覚えて見る見る内に遅くなっていった。
(ああ・・足が、重い・・・)
やがて草原の草が伸びてきて、ルナの足に絡まってきた。
「キャッ・・・」
ルナは草に足を取られ、転んでしまった。
更に草が伸びてくる。
スルスルとルナの身体中に巻付いてくる。
まるで生き物のように。
「ああっ・・イ、イヤッ・・・」
慌てて振り解こうとするのだが、益々絡みついてきてルナの手足を不自由にする。
やがて草は太い蛇に変わり、ルナの身体を這いながら不気味な声をたてていく。
「いやっ、いやぁ・・・」
抵抗する事も出来ないルナのドレスを掻き分けて、無数の蛇が這い廻る。
長い舌をチロチロと出して、ルナの汚れを知らない美しい身体を舐め廻わしていく。
「あああっ・・う、うー・・んん」
ルナのドレスは草の露と蛇の唾液で濡れ、絹の布越しにスレンダーな身体のシルエットが浮かびあがってくる。