第四章 白い記憶-7
今まで感じた事のない胸の高鳴りを、覚えるようになった。
父や母にも言えない。
そんな切ない思いが心を締め付ける。
「ディオン・・・」
そっと、その名前を呟いてみた。
昨日の口づけの感触が残っている。
ベッドで起き上がると、ルナは大きく伸びをしてみた。
身体中に生気がみなぎってくる。
愛が広がっていく。
窓の外から鳥のさえずりが聞こえてくる。
満足そうなため息をつくと、ルナはそっと心の中で呟いた。
昨日、愛する人に告げた言葉であった。
(大好き・・ディオン・・・)