第三章 過ぎ越しの祭り-4
「ル・・ナ・・・」
甘い香りが心を痺れさす。
ルナの大きな瞳が閉じられていく。
金色の光が睫毛によってカーブを描く。
「私も好きよ・・ディオン・・・」
「う・・・」
ディオンの言葉はルナの柔かな唇に捕らえられ、そのまま心に届いていった。
(ああ・・僕も、僕も大好きだ・・ルナ)
(好き・・私のディオン・・・)
心が絡みついていく。
言葉を出さなくても、互いの気持ちが手に取るように理解できた。
愛の囁きが静かな庭園の中で繰り広げられている。
鳥の声以外、音は聞こえないのだが。
初めての口づけは、短い間であったのに深い愛の刻印を二人の心に刻んでいった。