混乱-1
ハンチング帽を被り、薄いサングラスをしている男だった。歳の頃は、はっきりしないが若くは無い。真理子が体を捻り、その男に話し掛け様とした時、尻を撫で回される感触がした。真理子は思わず、
「アッ‼︎」
と声が出た。周りの割と近い所に居た乗客達が真理子を見る。真理子は、慌てて口を塞ぐ。後ろの男を見ると素知らぬ風をしていた。真理子は頭を下げ、自分のお尻を方を見ると誰の手も触れてはいない。
だが、自分のお尻に触れる程近くにいるのは後ろの男だけだ。真理子は、男を問い詰め様として止めた。
(誤って触れてしまったと弁解されたらどうしょうもない。)
(それに、この男がツープッシュへの唯一の手掛かりだ。)
(男が言い訳出来ない程、痴漢している所で検挙しないと。)
真理子は、男を少し泳がせ再び痴漢するのを待つ事にした。だが不安も有る。誰の助けも得られないし、お尻を撫でられ経験した事が無い程敏感に身体が反応した。
身体が先程から更に熱くなり、顔には汗が噴き出している。下半身のデリケートゾーンはジンジンと自分の意思を無視して脈打つ様になって身体のどこより熱を帯びていた。
(ツープッシュってこんなに凄いの!)
(大丈夫かしら、私…)
と心配になるも、
(痴漢一人位捕まえられないで、どうするの‼︎)
(ヤクトリの課長なのよ!)
(毅然として対処するのよ!)
と自分を鼓舞して、気持ちを高めて行く。そして体を扉の方に戻して、乗車してからの体勢にする。真理子は、わざと隙を見せ後ろの男を誘ってみる事にした。
銀三は、いよいよ思い切って女に直に触って見る事にした。サツ関係の女に行くのは初めてだ。だが目の前の女を見た時から行きたくてしょうが無かった。こんな自分好みの女を見たのは初めてだったが覚悟もした。
(相手は、ヤクトリだ。)
(一発で捕まるかもな。)
と思いながら慣れた手つきで左手に持ったスポーツ新聞を今度は逆Uの字にして右手をその下に入れて周りから隠して自然といつも触る体勢をとる。
丁度その時、女が周りを見て銀三に気付き、体を捻って後ろを向こうとしていた。銀三は、構わず女の尻の右側を手のひらで軽く時計回りに撫で廻した。
女が周りの注意を引く程声を挙げたのは予想外だった。銀三は、スポーツ新聞を待つ左手と右手をすぐに腰の横に戻した。逮捕を覚悟したが女は口を手で塞ぎ、自分の尻を確認すると少しして最初の体勢、体を扉に向けた。
(逮捕しないのか?)
(軽く触ったから、確信を持てるまで泳がせるのか。)
と銀三は、以前に囮捜査で他のヤツが捕まるのを見たが軽く触れる位では捕まえない。明らかに痴漢だと分かる行為まで待って捕らえると知っていた。
それに、眼鏡を挙げて女を観察すると顔は赤く紅潮して汗が出ている。息も先程より荒くなり少し震えている様に見えた。
(二回目のツープッシュが効いてるぞ!)
(声が出る程感じた訳だ!)
(ケツ軽く触っただけなのに、凄えぞツープッシュ!)
と思った以上のツープッシュの効き目に驚きを禁じ得ない。そして女の行動を、
(女は刺激に敏感過ぎて、触られた加減が判断出来ないんだろう。)
(明らかな痴漢だと分かって、逮捕するつもりだ。)
と銀三は分析した。銀三は微笑み、
(なら、本格的に触ってやるか!)
(そんな身体で逮捕出来るか、試してやるよ!)
と両手を前に持って行く。
真理子は、口を固く閉じ後ろの男が触って来るの今か今かと待つ。お尻に感触が有る、今度は鷲掴みにして揉む様にしている。予想していたので声を挙げる事は無かったが強い刺激が真理子を襲う。
男は、お尻の形を確かめる様に右側から左側に移り撫で廻し、鷲掴みにして行く。真理子は堪らず左手で扉横の握り棒を掴み耐える。
(何て、感じるの!)
(これが、ツープッシュの効能なの。)
(気持ち良い…)
と想定外の気持ち良さに囚われる。だがすぐに首を振り、
(そんな事、考えないで!)
(相手は、卑劣な痴漢よ!)
と思い直し、扉のガラスに目をやると反射して自分と後ろの男が映っていた。男は、折り畳んだ新聞紙を真理子のお尻の近くで広げているのが確認出来た。
(摘発した痴漢も同じ事をしていたわ。)
(周りから触っている手が見えない様に。)
真理子は、そろそろ男を問い詰めようと思った。再び後ろを振り返ろうとした時、お尻の割れ目を強く擦られる。
「むっ、うぐぅ…」
真理子は、何とか声が出るのを堪えた。男は、真理子のお尻の穴から前の性器まで手を上下させている。真理子は、激しい快感を感じた。右手も扉に付け頭を下向きにして唇を噛み耐える事しか出来ない。
銀三は、女の様子を伺いつつ、女の尻を撫で廻したり鷲掴みにして揉んでいた。女の反応は上々で銀三を喜ばせる。
(早目に次に行くか。)
(ヤクトリだ、すぐにでも逮捕してくるかも知れん。)
と思い、右手の指二本を女の尻の割れ目に合わせて上下する。強めに押し当て尻の穴とマンコの位置を予想して擦る強さを増して行く。程なく女は、今まで以上に感じてる様子だ。
何とか声は我慢しているが、微かな喘ぎが漏れている。女の体勢も銀三の動きに合わせて何とか耐える様に、左手は扉横の握り棒を右手は扉に置き頭も下げ出した。
(女の動きが目立って来た。)
(このままじゃ、周りに気付かれるな。)
と銀三は思った。