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恥ずかしの高校ミスコン
【学園物 官能小説】

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後日譚-2

 ミス和天高に選ばれた美景は、予定通りに入学案内のパンフの表紙を自身の写真で飾り、オープンキャンパスでの在校生による学校紹介の仕事も果たした。こんなふうに目立つのはそれほど気の進むことではなかったが、与えられた役目は責任を持ってこなすのが、真面目な彼女というものだ。
 その年度の入試で和天高校の志願者は例年より多かったとのことだが、それが美景のおかげなのかどうかは定かではない。

 約束通り授業料が免除されたばかりか、過去に納めた学費その他の費用まで返還されたから、深瀬家にとって結構な収入になった。
 母からは学内のミスコンに出て優勝したことを「汚れ仕事」のように言われもしたが、こうやって家計に大きく貢献してみせたとなれば、さすがに文句はなかった。そのために裸にまでなったとは、美景も間違っても言えはしないが。
 花屋でのアルバイトはその仕事自体が好きだったし、店主とも仲良くなっていることもあって、週1に減らしたが続けている。

 父の状況も、好転していった。
 あの後、学費免除に関する話の際に三田村理事長は美景の家庭の事情を詳しく聞くことになった。幅広い人脈を持つ彼の口利きで何人もの敏腕のフリージャーナリストが動き、竜一郎の告発をもとに調査・追及を進めた結果、当の製薬会社の不正の実態が暴かれていったのだ。
 告発者の竜一郎は名誉を取り戻した上、事の顛末を綴った手記を本として出版することも決まり、刊行前から評判になっている。講演もたびたび依頼され、フリーのビジネスライターとして新たなキャリアを確立しつつある。大学の経営学部にビジネス倫理の講師として招聘される話も出ているとのことで、今はそれに向けての勉強もしている。
 それはとっても嬉しいな、というところだが、父が仕事を再開したせいで家事は以前のように母との分担制に戻り、父の美味しい手作り料理が毎日食べられなくなったことは、ちょっと残念なのかもしれない。

 遅い17歳の誕生日を迎えた直後、美景は3年生に進級した。和天高校では文理分けは3年生からだが、彼女が入ったのはもちろん理系クラスのF組だ。
 当然男子生徒の方が多いクラスだが、幸い、あの生徒審査員に顔を連ねた男は1人もいなかった。審査員を務めた教師も、担任はもちろん教科担当のなかにもおらず、安堵した。

 そして文化祭の季節が近づいてきた。美景にとっては高校生活で最後の文化祭。前年同様、ミスコンテストも開催されることになった。
 連覇を期待して彼女を推す意見も、クラスでは当然のように出た。
「私がもう一度出てもしょうがないと思います。チャンスは他の子に譲ります。私は絶対に出ません」
 そう言って、今度こそきっぱり辞退した。

 代わりにF組代表として出場することになった富岩弥生は、同じ科学部で仲良しの友達だった。かなりの器量良しなのだが、去年は梨佳と同じクラスだったため出場できなかった。
 勝っちゃダメ、もし本選に残っても辞退した方がいい、と教えてあげたかった。しかしこの件については理事長からも口外を厳禁されている。弥生がもし勝ち残ったら、その時はどうしようか、と思案していた。弥生も綺麗で、その可能性は十分あるから心配だった。

 お願い、弥生、勝たないで……。

 投票結果が発表され、弥生の得票は全校9位で敗退が確定したとき、入賞した子には悪いながら、友達が大変な目に遭わずに済んで美景は思わずガッツポーズをしてしまった。

 あ、もしかして弥生に見られた? 



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