ストリップ劇場のSMショー-5
客達もそれに気がついていた。
「おい、かおるのしゃぶり、すこしいつもと違うね」
「うん、たしかに」
暁代は、なぜかこの男を好きになっていた。
ハンサムで清潔で、紳士的で優しそうな人。
それは愛人の勇夫とは違っていた。
暁代はストリップ劇場の踊り子で、彼はサラリーマンらしい。
その立場は違っても、この瞬間はセックスをしようとする男と女だった。
(この人と心から繋がって、今は感じたい……)
それは、舞台で本番をしてから、初めて感じた暁代の素直な気持ちだった。
そのとき、暁代は舞台だと言うことを忘れていた、
彼女は心から感じ始め、膣はいつもより濡れていた。
「上に乗りますね、お客さま」
「ええ、よろしく」
暁代は固くなった男のペニスを握りながら、ゆっくりと膣の中に入れた。
それは、いつも猛々しい今までの男達とは違っていた。
どこか、暁代の膣としっとりと交わっている感じがする。
けっして荒々しくはないのに、その固さが暁代の膣とマッチしていた。
(あん、こんなに気持ち良いのはじめて、私の肉が彼にまとわりついている)
暁代が腰を揺らしていると、ジワジワと身体中が痺れてくる。
足の先までが痺れ、客達が興奮して見つめていることも忘れていた。
下から男が突き上げ、それに合わせて暁代は揺れ動いていた。
大きな乳房は汗に濡れ、妖しく光っていた。
やがて、男と暁代は、ピタリと結合しながら果てた。
男は暁代が締め付ける膣の強さに堪らず、頭が痺れてついに射精した。
そのまま、暁代は崩れるように男の胸に倒れ込んでいた。
心臓は壊れそうになるほどドキドキと興奮している。
しばらく二人は結合したまま動けなかった。
男と重なりながら、暁代は男に耳元で囁いた。
(あなた、素敵だったわ、こんなに気持ちが良かったの初めてなの)
(わたしもそうです、すごく気持ちよかった)
暁代はこのまま男と別れたくなかった、そして思った。
(あの、明日、午前中に時間ありますか、良かったら会いたいの)
(えっ? ほんとうに? もちろん!)
(では、駅前の喫茶店で……)
(でも劇場は?)
(今日で千秋楽で、明日はお休みなの、だから……)
(わ、わかった)
こうして、暁代とその男は皆の見ている中で約束をした。
しかし、その内容を知るものはいない。
一週間続いたストリップ劇場の特別公演も終わり、しばらくは通常の営業になる。
踊り子の入れ替えもあり、暁代にも時間の余裕ができる。
相棒の勇夫は暁代といつも一緒にいるわけでもない。
男にしても、明日の相手との打ち合わせを変更すればどうにでもなる。
こうして、暁代と男は皆の見ている中で約束をしていた。
次の日、暁代は私服に着替えて楽屋で支度をしているとき、
新しく入ってきた若い踊り子に声をかけられていた。
「あら、かおるさん、どこかへお出かけですか?」
「うん、そうなのこれ内緒ね、良い?」
「はい、もちろんです」
まだ、20代の若い女は可愛い顔をして暁代を見つめていた。
暁代はその女を見て思っていた。
(自分にもこの子のように、若い頃があったんだわ、この子はまだ本番をしていない、
でも、いつかはわたしのように……)そう思うと複雑な気持ちになってくる。
「あのね、実は昨日、本番した男の人と逢ってくるの」
「ええっ! 素敵じゃないですか……」
「うん」
暁代は幸せは気持ちになって、まるで少女のように心がときめいていた。
二人は駅前の喫茶店で会い、それからラブホテルに入っていった。
彼は、朝川洋太と言い、女子校の教師をしていると暁代に告げた。
妻とは会話もなく、寂しい思いをしていると言う。
暁代はそんな彼に惹かれていた。
ホテルで熱いセックスを交わし、二人は快楽の園へ堕ちていった。
そこでは、暁代はストリップ劇場の踊り子ではなく、
彼は暁代を一人の女性として優しく接してくれ、それが嬉しかった。
深く結合しながら暁代は彼にしがみついていた。
それからも二人は何度となく密会して、セックスを貪っていた。
暁代は彼が住む近くで公演があるときには必ず連絡し、
逢瀬を楽しんでいた。
別れるとき、いつも暁代は抱かれながら泣いていた。
「また、逢いたいです」
「ええ、来られるときにはいつでも……」
暁代が初めて心から好きになった人は、彼だったのかもしれない。
その彼が、後になって勇夫と暁代の成長の家で成熟した少女の客に
なることをまだ知らなかった。