本選会-4
そうして、それぞれ和天高校の制服に身を包んだ5人の少女たちを見渡した。
「みなさんの制服姿、本当に綺麗です。それでは1人ずつ真ん中に立って、ご自身の魅力を制服姿で存分にアピールしていただきます」
出場者たち全員は昭代の指示に従いいったん演台とは反対側の部屋の端に移動し、順々に自分の番が来ると前に出て審査員に自らをアピールしていく。
早織のあざといまでの可愛らしい仕草や、それに加えてアイドルを思わせる梨佳の軽快なステップ。女子高生とは思えない豊かな胸を突き出して、大人っぽい色香を存分に主張する奈津江。歩き方の上品さで魅せる琴音。そうやってそれぞれが自身の特徴に合わせたパフォーマンスで魅力を表現しようとする。だがそのなかで美景は文化祭の時と同じく、特別な振る舞いは何もしなかった。ただ中央に立って丁寧に一礼し、ぐるりと一周してまた一礼した、というだけだ。
それ以外のアピールの仕方をそもそも知らないし、前の時もそれで通用したのだから、今回も同じようにやるしかない、というつもりだった。
審査員席を見やると、5人のアピールを受け、教師勢も生徒会勢も、頷きながら手元の書類に熱心にいろいろと書き込んでいる様子だ。
「みなさん、それぞれ本当に魅力的でした。さすがはわが和天高校きっての美人の女の子たちです」
昭代はあらためて5人を称える。
とはいえ、これは文化祭の時の制服部門でやったこととほぼ変わらない。これ以外に、何を審査するというのだろう。美景も訝った。具体的なプログラムは何も用意されていないのだ。
美景は念のため、文化祭の時に着た私服と白衣は持参している。監修者も無しでは、彼女だけで前と同じコスプレを再現することは困難かもしれない。とはいえ、文化祭と同じ事を繰り返すとしても、それで何になるのか。わざわざ本選なんて必要なのか……。
そう思いかけたとき、昭代が朗々とした口調で、耳を疑うようなことを宣言する。
「ではみなさん、これからが肝心です。いよいよ下着審査に入りま〜す!」