本選会-2
でも、こんな凄い特典、本当なのだろうか……? 彼女は半信半疑だった。
第一、ミスコンは生徒会主催の行事のはずだが、いくら生徒の自主活動が盛んな学校で生徒会の権限もかなり大きいとはいっても、こんなことまで決められるとは思えない。そう思ってページの最下部を見ると「和天高校生徒会」「和天高校ミス・ミスターコンテスト実行委員会」に加えて、なんと「和天学園理事長 三田村友常」の名があった。
つまりミスコンは単なる生徒の自主企画ではなく、理事長公認のイベントだったのだ。
それならば、学費免除の件も本当だろうし、いかがわしいところもない、と美景は判断した。
こうして家族のためにも、彼女は本選に出場する決意を固め、「出場」のタブをクリックしてエントリーした。こうなったら優勝したい、と思った。
とはいえ審査内容が具体的に何も書かれていないから、優勝するためには何をどう頑張ればいいのか見当もつかない。本選のことについて口外は禁止ということなので、クラスメートたちにそれとなく訊いてみた。
「ねえ、私なんかが、どうして全校投票で3位になんてなれたのかな?」
そうすれば、何かヒントが得られるかと考えたのだ。
「深瀬さんってとっても清楚でキレイだから、変に飾らなかったのがかえって良かったんじゃない?」
だいたいこういう答えが返ってきた。クラスでの呼び方はみんな「深瀬さん」で、名前呼びする友達は科学部にしかいない。
飾らなさこそがむしろ魅力。自分の美しさはそれなりに自覚していても、美景はまだそんなふうに考えたことはなかったから、新しい気づきだった。
文化祭の時と変わらない調子で行こう。メイク等も一切しないで行く(そもそも今の彼女では自分だけで化粧など出来ないが)。そう決めて、美景は本番に臨むことにした。