聡美(四.)-1
前田のそそり立つモノは、ゆっくりと中に進入してきた。
思わず声がもれそうになったが、聡美はなんとかこらえた。
聡美はそもそも行為の最中は声を出さなかった。はしたないと思っていたし、日頃から夫や息子に声が大きいと指摘されてからはなおさら意識するようになっていた。
前田の動きは瞬く間に激しくなり、腰に微妙な動きの変化を加えながら聡美の中を搔き回すように犯した。乳房は乱暴に揉まれ、口の中は前田の舌が這い回るように聡美の舌とからみあった。
やさしさのカケラもない性行為だった。女性の身体をただの肉の塊としか思っておらず、欲望の捌け口としてもてあそんでいるような横暴さだった。
本来ならこのような行為に、聡美は激しい嫌悪を感じるはずだった。――でも、現実はそうではなかった。
心ははっきり嫌悪を感じながらも、身体はこれまでにないほど歓喜に震えていたのだ。しばらく男女の営みがなかったからだろうか、それとも女としての純粋な本能がそうさせるのか、聡美自身にもわからなかった。
もうひとつ驚いたことは、若い男の性欲の強さと持久力である。
夫との行為は、長くても十分前後、結婚してからはさらに短かった。
なのに前田は、かれこれ二十分ほど交接し続けているのに果てることがなかった。前田が果てたのは、聡美が三回目の絶頂をむかえたときとほぼ同時だった。
行為が終わると、しばらく二人は裸で抱き合ったまま互いの身体を愛撫した。
それから三十分ほど経つと前田の性欲は回復し、再び股間のイチモツをそそり立たせると、そのまま二回戦に突入した。
結局、何回行為に及んだのかおぼえていない。あらためて聡美は若者の性の強さに驚かされていた。
ようやく性が果て、聡美が解放されて帰宅したときは、もう夕方の五時をまわっていた。
前田はまだ求めてきたが、そろそろ智司が学校から帰ってくる時間だったので無理やり服を着て帰ったのである。
智司は帰っていなかった。聡美は帰宅してすぐシャワーをあびると、汚れた自分の身体を洗い清めた。股間はジンジンと痛み、身体じゅうのいたるところに前田との行為の跡が残っていた。その日、聡美はなるべく露出の少ない服を着て、家族にばれないよう願った。