the blue sky-1
夏真っ盛りの8月24日。
今日も雲一つない快晴。
the blue sky
雲という日光を遮るものをなくした太陽は、今日もさんさんと大地を照らし尽くす。
付近の住宅街では、専業主婦がせっせと水まきを行っている。
迫り来る猛暑に耐えられなくなった住民は、逃げ場を求めプールや川に駆け込む。
いつもと変わらない日常。
「あっつ…。」
今日はある用事があり、私は人気の少ない地元の駅へと向かう。
「しっかし、暑い…。」
薄着をしてきたのに、むせ返るような湿気と暑さで気分が悪くなる。
駅に到着すると、案の定、人は一人もいなかった。あるのは古びた券売機と駅員一名。
茶色い古びた屋根は新しい高級感こそないが、木特有の良い質感と雰囲気をまだ保っている。ホームの隅にあるピンクのクッションのベンチは所々スポンジが見えていて、今まで散々使われていたのがよく分かる。
券売機で切符を買った私は電車が来るまでの間、そのベンチに座り込んでタバコに火をつける。
空中を漂う副流煙。私の肺を犯していく主流煙。
ふはー。と、リラックスしてみたりする。
「禁煙しなくちゃ、な。」
はは。と、軽く笑うと、電車がホームに来た。私は煙草の火を消して電車に乗り込む。
電車の中には、慰安旅行にでも来たのか知らないが、老夫婦が一組。それだけだった。
私は隅っこの席に座ると、動き出した電車の窓から外の風景に目をやる。
「う〜ん。綺麗な景色だ。」
窓から見えるは、一面広がった田園風景。それのさらに向こう側では壮大な山々が列を連ねて並んでいる。
ガタンゴトンと、電車の心地良いリズムに揺られていた私は、すぐに眠りに落ちてしまった。まぁ、目的地は終点だし、あと一時間くらいかかるなら大丈夫だろう。