the blue sky-3
「雄二!!お願い逃げて!!」
「大丈夫…ッッ…。」
私の目の前に居る彼の背中からは、銀色と赤に染まるとがった物が突き出していた。
彼の白いTシャツはみるみる赤に染まり、アスファルトには赤い水溜まりが出来る。
「あ…あ…いやぁぁぁぁぁ!!!」
私が叫んだせいで、通り魔は舌打ちをして逃げて行った。
「ゆ…、雄二!!大丈夫!?今救急車呼ぶから耐えて!!」
「三ヶ月の命……。最後の最後に良い使い方が出来て良かった……。」
「良い使い方な訳ないでしょう!?なんで私の為に…大事な、貴重な三ヶ月を…。」
「じゃあ……最後に…お願い、聞いてくれる?」
彼は息すらままならない状況になっていた。肺の辺りにナイフが突き刺さっている。
「何?なんでも聞いてあげるからっ…。命だってっ、あげられるなら…あげる…。」
涙と鳴咽で上手く言葉にならない。
「ずっと好きでした…。俺、と、付き合って……、くださ、い……。」
私がなによりも望んでいた言葉。
「私も大好きだから…付き合うから…生きて…、生きて雄二!!」
「そう…ありがと里菜…、愛してる…。最期に、一番愛してる人のそばで死ねる…。」
「私も愛してる。だから死なないでよ…。」
「………。」
「雄二…?」
雄二が、返事をしない。慌てて雄二の口に耳を当てると、そこから出る空気はない。