the blue sky-2
『…さん。……お客さん?』
「ん…ぁ、どうもスイマセン。」
どうやら結構深い眠りに落ちてたらしい。ゆっくりと起き上がり、ゆるゆると駅員さんに礼を言って私は目的地に向かった。
「むぅ…。」
場所は違えど暑さは変わらず、むしろ温度が上がったかのようにも感じた。
そんな私の目的地は墓地。今はもういない、愛しい愛しい彼の命日だから。
私は彼の墓に到着すると、まず軽く水とタワシで墓を洗ってやる。綺麗になったのを確認すると、彼の大好物であったサイダーと少々の食べ物を置く。
「久しぶりね、雄二。また来たよ。」
墓の前でポツリと呟く。
彼が死んだのはちょうど三年前の今日。あの日も雲一つない快晴だった。
その日私と雄二は、二人揃って街を歩いていた。その時はまだ付き合ってはいなかった。私は、早く告白するぞ!!と、決意を胸に遊びに誘ったのだった。
彼は病気だった。余命三ヶ月で、今彼に想いを告げなければ一生後悔するから。
彼は余命三ヶ月だからといってヒステリックになるわけでもなく、毎日を大事にして楽しく過ごしていた。
「や〜、外の空気ってのは良いね〜。病院にずっと居るの嫌だし、誘ってくれてありがとな、里菜。」
「こちらこそ、来てくれてありがとうだよ。雄二。」
二人で楽しい時間を過ごし、それも終わって帰り道に着こうとしていた時。
街の路地、空は昼間ほど明るくはないが、まだ明るさを失ってはおらず、依然と雲一つない快晴だった。その快晴の下、私は彼に想いを告げることにした。
「ねぇ、雄二。」
「ん?どーした?」
ずっと好きでした。と、言おうとしたその時、私は急に前に倒れた。
「里菜!!逃げろ!!」
ぐいっと私の手を掴み、後ろに引かれる、地面に倒れる私。その視線の先には、通り魔と雄二がいた。
「ゆ…、雄二!!逃げて!!」
「お前こそ逃げろよ!!…なんとかなる。」
逃げられない。腰はすっかり抜けてしまい立てないし、目の前には大好きな彼が命の危機に直面している。
−−まだ、想いだって告げてないのに。