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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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裏切りを重ねて (2) / 番外編:美魔女グランプリ・ネットの反応(後編)-1

 不倫という名の自傷行為を繰り返し、自我崩壊の危機に陥っていたゆきを救ったのは、皮肉にも夫だった。
 裏切りの上に裏切りを重ねないがしろにし続けた夫が、ゆきの精神を破滅の縁から助け出した。
 Yとの不倫に溺れた春から、三年の月日が経っていた。

 折しも上の子は小学校にあがり子育ては落ち着きを見せ始めていた。
 夫の仕事も軌道に乗り夫婦で向き合う時間が増えたころ、久しぶりに夫に求められたゆきは、今度は受け入れた。

 正直、どうでもよかったというのが本音だ。Yと恋に落ちGやWに抱かれている自分なんて。今日も昼から、客先での打ち合わせと称しWとホテルで二時間ほど過ごしてきた。限られた時間で慌ただしく事を済ませたためアナルヴァージンこそ奪われずに済んだが、いつものように肛門に性玩具を挿し込まれながらのセックスでオーガズムを与えられた。
 そんな身体で夫に抱かれる。
 この人は私が二人の男性と身体の関係を持っていることを知らない。しかもひとりはあなたもよく知る人。あなたが尊敬する人。その人の男性器をあなたの妻は口に含み、下半身の二つの穴を同時に犯されている。
 のんきな顔をしているこの人に、いっそキスマークでも見つかればいい。赤く腫れたお尻の穴を見られ、問い詰められ捨てられればいい。

 投げやりな態度でおとなしく抱かれる妻を、しかし、夫は優しく愛してくれた。どうせいきなり挿入し、気づかぬうちに射精して終わるのだろうと半ば醒めていたゆきの予想は、良い意味で裏切られた。

 愛おしそうに見つめられ、頬を撫でられる。なに、これ。ゆきの胸の奥がきゅんと音を立てた。なんだろう。そっとキスされる。胸の疼きが下腹部へとじわりと広がる。たったこれだけで。まだ挿入もされていないのに。
 ただキスをされ、頬を、髪を撫でられる。見つめられ、またキスされる。
 ねえ、あまり優しくしないで。
 昔みたいにさっさと済ませて、私を失望させて。

 長い、長い時間のように感じられた。別にどこを刺激されているわけでもない。気持ちよくもない。でも、嫌ではない。無であった心の中に、小さな火が灯った気がした。今にも消えそうな頼りない明かりをぼんやり見つめながら、妻は夫に身体を預け、気持ちを委ねる。
 夫はしばしゆきを愛でると、静かに挿入し、すぐに果てた。

  *

 それからも夫は、週末の夜になると妻を求めた。
 ゆきも拒否はしなかった。

 肝心なところを触ってこないのは昔のまま。挿入するとすぐイッてしまうのも変わっていない。
 ただ裸で抱き合い、たっぷり時間をかけて愛してくれた。
 夫の唇が自分の唇に重ねられるだけでゆきの心は潤い、股間から気持ちが溢れてくる。
 灯火が、ついては消える。
 霧深い森の中にぽつんと光る、弱くか細い火。

 いつしかゆきは、夫との週末を心待ちにするようになっていた。
 求められても背中を向ける、かつてのゆきはいなかった。

 ひょっとして、私はまだ、夫のことが好きなのかな。
 嫌いになれれば、楽になれる。そう思ってたのに。
 仮面夫婦として残りの人生を送り、他の場所で、他の人と、割り切った関係を持つ。
 そんなくだらなくてありふれた、立派な不倫妻を続けていく予定だったのに。

 GやWの誘いを、なにかと理由をつけて断ることが増えた。
 先日はWについに後ろの穴にペニスをあてがわれたが、ちょっと痛いからと拒否をした。
 私はなにを今さら、誰に今さら、操を立てているのだろう。
 一度や二度逃げてみたところで、どうせいつかは挿れられてしまうくせに。
 不倫している事実は、変わらないのに。

 夫婦の時間が増えてきた。
 平日でも、身体を重ねるようになった。このころになるとゆきもはっきり「嬉しい」と、自分の気持ちを自覚するようになっていた。
 キスされて、頬を撫でられる。全身が痺れるような幸せの感覚に包まれる。他の人とのセックスでは味わうことのない感覚。切なさに胸が締め付けられる。下半身が熱くなる。

 涙が溢れてきた。
 やっぱり私はまだ、夫のことが好きなんだ。
 よかった。
 いや、よくない。
 なぜなら私は――。
 身勝手な愛おしさに疼いていた胸の奥が、今度はチクリと傷む。
 私は、この人を裏切り続けている――。
 溢れた涙が、頬を伝いこぼれ落ちた。

「ゆき? 泣いてる?」
「な、泣いてなんかないよ。眠いのかな?」
 あくびするフリをしてごまかしてみる。
「明日も仕事だしね。嫌だったら言ってね」
「べ、別に嫌とかじゃないけど……」
 夫がニヤニヤしているのがちょっと腹立たしい。腹立たしいという感情までが、懐かしい。からからに乾き荒れ果てていた心が、潤っていく。
「そ、それよりパパ、どうしたの?」
「何が?」
「最近のパパ、前と違う」
「そうかな?」

 微笑んでまたキスしてくれた。ゆきも笑った。

「自分で気がついてないの? ぜんぜん違うよ?」
「いやー、ははは。バレてたか」
 なに? ひょっとしてこの人も不倫?
 浮気を疑うパートナーは自分も浮気している可能性が高いというという俗説は本当だなと、ゆきは思った。
「えーっと、実はさ、ほら。こういうのってずっとしてなかったじゃん?」
「うん」
 夫とは四年以上セックスレスだった。
「だからネットの『ロマンチックなセックスのやり方』ってサイトで予習してた」

 まったくロマンチックでない発言に思わず吹き出した。夫が見せてくれたスマホ画面には「最近妻がなかなか夜の誘いに乗ってくれない。原因はあなたのセックスかも!?」という煽り文句が書いてあり、また吹き出した。
 どうしよう。楽しい。私なんかが楽しんじゃいけないはずなのに。


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