幼茎の尿臭 〜聖美13歳・知季10歳〜-1
寝室のドアがばん、と開く。
「やっほー知季、ねぇね帰ってきたよー」
紺のブレザーに同色のスカート。中学の制服を着た聖美がそう言いながら知季が腰掛けているベッドに突進してくる。そのまま知季に飛びつき、覆いかぶさるようにしてベッドの上に押し倒す。
「ちょ……ねぇね、苦しいよ」
顔を聖美の胸に押し付けられる格好でベッドにあお向けにされた知季が、かろうじて自由がきく腕をバタバタさせてはかなく抵抗する。知季の鼻腔に、聖美の紺のブレザーに染み込んだ、埃っぽさと甘酸っぱさが混じったような匂いが充満した。
「なんだよう、ねぇねに逆らうのかよ」
聖美は両手で知季の両手首をそれぞれ掴んでベッドに押し付け、知季の唇に自分の唇を押し当てた。ちうう、という吸気音のような音が知季の寝室に響く。
知季の唇から唇を離した聖美は、その口から舌を出して知季の唇や頬、鼻の穴を舐め始めた。聖美の、白い泡を含んだ中学2年生の唾液が知季の顔半分に舌で塗りたくられていく。聖美の体臭を凝縮したような制服の匂いが満ちていた知季の鼻腔に今度は、給食の後の歯磨きをしていない、学校からダッシュで帰ってきて渇いた口に繁殖した嫌気性菌で臭みが増した、聖美の唾液の酸っぱい匂いが怒涛のように押し寄せる。
「どうだ知季、ねぇねのキス攻撃たまんないだろ?」
知季の顔を舐めながら聖美がささやくように言う。色白で丸顔の聖美の頬が火照ったように赤いのは、ダッシュで帰ってきたせいもあるけれど、弟を凌辱しようとしている興奮がそうさせているのが大きい。
「ちゃんとねぇねの言うこと聞いて、学校でおしっこいっぱいしてきた?」
やっと知季の手首を離して、半身を起こした聖美が言う。その両手はもう、知季が履いているオリーブグリーンのカーゴパンツのポケットに手をかけ、ボタンレスのカーゴパンツをずり下ろそうとしている。
「あ、うん……」
知季はされるがままにカーゴパンツを脱がされた。聖美の指示どおり、知季は今日学校のトイレに三回も小用に立った。「おしっこをなるべくたくさんしてこい」「おしっこしたあと、ちんちんはプルプルするな」。登校する前、母親が玄関へ父親を見送りに行った隙に、二人っきりになったダイニングで聖美がそう知季に言ったのだ。どうして何度もおしっこしてこなければいけないのか、なんでちんちんを振ってきてはいけないのか。なぜそんなことを姉が言うのかよくわからぬまま、知季は休み時間の度に水を飲み、二時間目のあと・昼休み・五時間目のあとの計三回4年1組の教室と男子トイレを往復した。今日のねぇね変なこと言うなぁ、と思いながら。
「よしよし、知季はいい子だ……わぁ……」
カーゴパンツが脱がされた知季の、オフホワイトのスパンブリーフだけになった下半身。そこにくっきり残る痕跡を見て、聖美は歓声をあげた。
まだ筋肉の成長が目立たない華奢な太腿、その上のスパンブリーフ、その前開きのいちばん下部の、縫い目が途切れたあたり。聖美が作らせたかった、知季のおしっこの薄黄色のシミがくっきりと残っている。
聖美は知季の両膝を立たせてその間に頭を割り入れ、知季の片方の太腿を左手で抱きすくめ、そのまま知季のスパンブリーフの股間に顔を埋めた。
「ん、んぅぅ、くぅぅぅ……ああん、知季、知季のちんちんのおしっこの匂い……ねぇねのかわいい知季のちんちん、くふぅ、知季ぃ……」
ブリーフに埋めた顔を左右に振りながら、聖美が荒い息遣いと共に漏らすくぐもった声。聖美の右手がチェックのスカートの内側に入って、なにかをまさぐるように動いている。ブリーフの中の、上向きに横たわる性器が聖美の鼻先でぐにゅぐにゅと動くのを感じながら、知季は中学2年生の実姉の淫態を虚ろな目で眺めていた。
ちょっとガサツだけど面倒見がよい姉。おとなしいけど姉思いの弟。
そんな、どこにでもいそうで平穏な姉弟の関係が変化したのは、聖美が中1から中2へ、知季が小3から小4へ進級する直前の、桜前線が北上を開始した頃だった。
その土曜日の放課後、聖美は教室を出たところでクラスメートの紬に声をかけられた。