感謝と祈り-1
これは、今より少しばかり昔のお話……。
あるところに、小さい村がありました。
その村に、一人の少女が暮らしていました。
少女は若いのにとても働き者で、両親もとても誇りに思っていました。
少女はとても真面目だったのですが、一つだけみんなに隠し事をしていました。
少女は自分の『命』を感じることが出来たのです。
そして今日、その命が消えることも知っていました。
日が暮れ、辺りが闇に包まれ始めたころ、少女は一人ある場所へと向かいました。
明るいお月さまの下、一面に白いお花が咲いています。
なにも見えないような暗い暗い闇を、お月さまの光が、白い花びらたちが、そしてお空に輝く幾千幾万の星たちが照らしていました。
少女は、お花畑に一人立っていました。
少女は子どもの頃から、ここでお祈りをするのが大好きでした。
少女は地面に膝をつき、祈りを始めました。
サアッ……
心地よい夜風が少女の頬を撫でていきます。
少女の祈りに応えるように、花達がサワサワと風に吹かれて動き始めました。
少女はまず、お日さまに感謝しました。
毎日私達に暖かい陽射しを、生きるための希望の光を与えて下さり、ありがとうございます。
そして次に、お月さまに感謝しました。
私達に暗闇を照らす光を与えて下さり、生きているもの死したもの全てに、平等に安らぎを感じさせてくれることに感謝しています。